南アフリカ、ケープ植物区
生物の授業で、世界の植物区系を習った人もいるのではないでしょうか?世界の植物群を大きく6つに分けたその区分の中にひときわ小さい植物区が存在します。南アフリカの一部に存在するケープ植物群(South African Kingdom, Cape Flora)です。
以下は2014年に機会を見つけて訪問した時の記録です。
↓アフリカ南端の喜望峰 (Cape of Good Hope)
左脇の白い花はおそらく自生のカラー(Zantedeschia aethiopica)。崖にも点々と白い花がみえる。
ケープフロラは多くの園芸植物のふるさとでもある。
よく知られたものでは、ガザニア、グラジオラス、君子蘭、ゼラニウム、フリージア。他には、極楽鳥花(ストレリチア)、多くの小型多肉植物、アロエ、プロテア、カラー、エリカ、オステオスペルマムなどがある。これら以外にも多くの植物が知られ、それらの植物は近年の園芸における珍奇ブームをうけてさらに着目されている。
↓カーステンボッシュ植物園
左下がゴクラクチョウカ(Strelitzia reginae)。ちゃんとした写真を撮るのを忘れてしまった。
下は同属別種でオーガスタと呼ばれることもある(Strelitzia nicolai)。3m以上になる大型種でバナナのような見た目だが、バナナはバショウ科でこちらはゴクラクチョウ科。観葉植物として日本でも売られているが建物の屋根をこえるくらいの大きさにならないと咲かないようなので、日本で開花を見ることは少なさそう。
アフリカ南端の大都市ケープタウン。そのシンボルのテーブルマウンテン
アフリカ南端部は寒流(ベンゲラ海流)の影響を受け、比較的乾燥した環境。寒流の影響を受けているため、この一帯は冷たい海水を好むケープペンギンの生息地になっている。
↓乾燥した環境であるために山火事は避けられないものになっており、ケープに生育する植物は山火事の後に再生する生態の種が多い。
↓ピンクッション(Leucospermum sp.) 名のとおり針山のような見た目で、切花として近年は日本でも安価に流通するようになった。
↓エリカの1種(Erica sp.)
↓キングプロテア(Protea cynaroides)。非常に有名な花で、顔の大きさほどもある。近年では日本でも流通するようになった。非常に精緻で案外堅いためドライフラワーとしても利用される。
南アフリカはダイヤモンドの産地としても有名。
実際には、ケープ植物群の分布はアフリカ南部の他の地域とそれほど明瞭に線引きできるものではなく、移行帯とよべる地域がある。しかし、それでもケープの植物群は異様であり、また美しくもある。
ケープタウン周辺は基本的には乾燥した環境ですが、砂漠のような環境ではなく、時折小雨が降るような乾燥強度のようです。
↓下の写真は菜の花畑。南アフリカからの代表的な輸入農産物はオレンジ・グレープフルーツなど。どちらも、温暖で乾燥した気候を好む。
最近はワインも有名。
↓乾燥した気候であるため乾燥に耐えられる潅木が多く、日本と同程度に温暖であるにもかかわらず森林が成立しない。このような環境は地中海の気候に似ているため(新)地中海性気候とも呼ばれる。
↓一方で、ケープタウンから北に数百キロ移動したナマクワランドは乾燥著しい環境のようで、潅木すら少なく、普段は緑が少ない景観になっている。しかし、冬~春先の雨によって植物が葉を広げ、文字通り一瞬の春を謳歌するよう。今回は花の時期を狙って訪問しました。
見渡す限りのお花畑は完全な自然状態ではないらしく、放牧放棄後に周囲から野生種が侵入することでこのようなお花畑になったそう。
優占しているキク科の植物はナマクワランドデイジー(Dimorphotheca sinuata)と呼ばれる代表種で、下の写真は園芸にも使われるガザニアの1種(Gazania leiopoda)。
↓ゼラニウムの名で親しまれる花。おそらくPelargonium incrassatum
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↓キク科の植物はナマクワランドデイジーに似ているが、おそらく別属のUrsinia chrysanthemoides。
紫色の花はアヤメ科の1種(Babiana curviscapa)。
↓ツルボラン科の黄色い花(Bulbinella latifolia)の群落。1mほどの高さがある。
↓上写真の後ろに写っている黄色の潅木はキク科の1種(Didelta spinosa)。葉は食べれるらしい。
↓シソ科の1種(Salvia dentata)。園芸植物のサルビアと同属。
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↓Asparagas sp.。アスパラガスと同属。
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↓この地域のもうひとつの特徴は多肉植物の多さ。乾燥した環境では多肉植物が多く見られ、アロエ科・ハマミズナ科(メセン類)などの多肉植物が多い。この地域でよく見られたマツバギクの1種(Drosanthemum hispidum)。
↓これは現地の花壇に植えられていたものだが、すべてこの地域原産。この美しさ・コンパクトさでは盗掘で数を減らしていても驚かない。
↓こちらは野生のもの、現地でダチョウの目(Ostrich eye)と呼ばれているキク科の草本(Arctotis fastuosa)。このまま園芸植物として十分通用する美しさ。
↓こちらは、人為の影響なしにできた草原。帯状のグラデーションが美しい。遠くに見えるのはシマウマ。
↓個人的にお気に入りの1枚。寂れた雰囲気だが、どこか暖かみがある。
↓ゴマノハグサ科の1種(Aptosimum spinescens)
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↓イヌサフラン科の1種(Ornithoglossum vulgare)
↓トウダイグサ科の1種(Euphorbia mauritanica)。遠くから見ると奇妙な緑の塊に見える。
この地域の特徴的な植物に、木になるアロエ(Aloe dichotoma)の存在があげられる。高いものでは10mほどになるそうで、イメージするアロエとはずいぶん違う。
↓小山の稜線にAloe dichotomaが見える。
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